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2017 秋号 AUTUMN 通巻588号 平成29年9月20日発行(季刊)
発行 / 福岡県 県民情報広報課

 
 
 

「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群

この7月、わが国の21番目の世界遺産に登録された
「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群。
ユネスコの諮問機関イコモスの勧告で除外されていた資産を含め、
8構成資産全ての登録が決まり、日本中が歓喜に
包まれたのも記憶に新しいことでしょう。
そんな注目を集める遺産群を、
この秋、地元ボランティアガイドと一緒に
楽しく巡ってみませんか。

宗像大社 沖津宮

島全体がご神体の「沖ノ島」

 宗像市神湊(こうのみなと)のおよそ60㎞沖に浮かぶ沖ノ島。この周囲4㎞の絶海の孤島は、日本が大陸との交流を通じて、豊かな文化を育んだ歴史と今に続く信仰を伝えています。沖ノ島では、ヤマト王権が朝鮮半島との関係を深める4世紀後半から、遣唐使が停止された9世紀末頃までの約500年間にわたり、航海の安全を願う国家祭祀(さいし)が行われました。その間、数々の奉献品が奉納され、出土した奉献品約8万点は一括して国宝の指定を受けており、沖ノ島は「海の正倉院」とも呼ばれています。

 現在、沖ノ島は田心姫神(たごりひめのかみ)が鎮座する宗像大社の沖津宮(おきつみや)として、神職が日々祈りを捧げています。今回、世界遺産となった、小屋島(こやじま)、御門柱(みかどばしら)、天狗岩(てんぐいわ)は、沖ノ島の南東約1㎞にある岩礁で、海上の鳥居の役目を果たしています。

 沖ノ島は島全体がご神体で、これまで数々の禁忌によって守られてきました。一木一草一石たりとも島外へ持ち出さない。島で見聞きしたことは口外しない。神職以外の入島はできず、神職が入島する場合でも必ず海中で禊(みそぎ)を行い体を清めるなどの禁忌は世界遺産に登録された現在も、そしてこれからも変わりません。

沖津宮社殿

沖津宮社殿/「お言わず様」とされた沖ノ島には記録が少なく、17世紀にようやく社殿が記録に現れる

 
 
沖ノ島

沖ノ島/東西約1km、南北約0.5km、周囲約4kmの無人島。全島が宗像大社の境内地である。日本と朝鮮半島を結ぶ最短距離の線上に位置する

岩上祭祀遺跡

岩上祭祀遺跡/調査によって、石で組んだ祭壇が発見された

露天祭祀遺跡

露天祭祀遺跡/8世紀から9世紀にかけて祭祀が行われた。まだ奉献品が残っているのが分かる

 
金製指輪(国宝)と三角縁神獣鏡(国宝)
沖ノ島群
 

宗像大社 中津宮 沖津宮遙拝所

「神守る島」大島を歩く

 宗像大社の中津宮(なかつみや)がある大島には、沖ノ島をはるか洋上に望む沖津宮遙拝所(おきつみやようはいしょ)も置かれています。今回、地元の「宗像歴史観光ボランティアの会」会長・船村浩由(ふなむらひろよし)さんに、大島を案内していただきました。

 大島港から歩いて5分の地にある中津宮は、宗像三女神の次女神である湍津姫神(たぎつひめのかみ)が祭られています。七夕(たなばた)伝説とのゆかりも深い境内には、三女神神話にちなんだ「天真名井(あめのまない)」と呼ばれる霊泉があり、冷たい水が湧き出ています。

 次に向かったのは、大島の最高峰、標高224mの御嶽山(みたけさん)。中津宮の奥宮である御嶽神社が鎮座しています。この周辺からは沖ノ島の奉献品と同じ、奈良三彩(ならさんさい)の小壺や滑石(かっせき)で作られた形代(かたしろ)などが出土。船村さんは「沖ノ島と同様の祭祀が行われていた」と話します。

 そこから、島の北側にある沖津宮遙拝所に向かいます。「古い絵図によれば、少なくとも江戸時代には遙拝所がありました」と、船村さん。運がよければ晴天の日、とくに空気の澄んだ秋から冬にかけて、約50㎞先の洋上に浮かぶ沖ノ島を見ることができます。

中津宮社殿

中津宮社殿/海を隔てて、九州本土の辺津宮と向かい合うように本殿が立つ

 
 
沖津宮遙拝所
沖津宮遙拝所
御嶽神社
 

沖津宮遙拝所/遠く離れた沖ノ島に対する神事を恒常的に行うため、江戸時代にこの地に遙拝所が設けられた

御嶽神社/中津宮の奥宮とされ、この周辺の古代祭祀場が中津宮の起源であることが分かる

 
宗像歴史観光ボランティアの会 ボランティアガイドの船村浩由さん

ボランティアガイドの船村浩由さん

宗像歴史観光ボランティアの会

 「2006年5月に発足し、現在の会員は90名と、県内ボランティアガイド団体のうち2~3番目の会員数を誇ります。宗像市はベッドタウンとして発展し、地元の歴史を知らないという人も多い。そこで宗像市についてもっと知ってもらおうと、講座を開設したことがきっかけとなり、ボランティア団体として発足しました。ガイドは宗像市内を中心に毎日対応しています。世界遺産の決定を受けてから、今年は去年の3~4倍もの依頼があります」

申し込み・問い合わせ/宗像観光協会 電話 0940-62-3811 ファクス 0940-62-3821
宗像歴史観光ボランティアの会[http://mrkv.lolipop.jp/kanbora.html